初めてそれらしい事を言われたのは、もう一ヵ月以上も前の話になる。
その時の凛は相当軽いノリで言っているように見えたし、
俺も俺で「いいよ。」なんてよく考えもせず簡単に答えた。
だけどそれ以来、キスもなければ手も繋がない、俺達の間に何か特別変化があったわけじゃなかった。
だからあの時のあれはたぶん、凛が咄嗟に思いついた冗談だったのだろうという事にして片付けていた。
それでなんで、今更になってそんなことを思い起こしているかといえば、
昨日の放課後、クラスメイトに告白を受けたからだ。
もちろん相手は凛ではない、隣の席の女の子。
俺にはその場でOKすることも出来たのだけれど、咄嗟に凛の事が頭に浮かんで保留にしてもらった。
「はぁ?あんなの冗談に決まってんだろ、何本気にしてんだよ気持ち悪ぃ。」
とか、凛に言われたらそれはそれでいい。
でも、万が一ってこともあるから一応、確認しておかないとって、そう思った。
「はぁ?なに、あぬひゃーと付き合いたいわけ?」
で、
早速だけど凛のこの表情、なんだろう。
怒っているのかとも思ったけれど、なんか違う。
ショック受けてるみたいな、なんか、そんな…傷ついた顔。
思ってた反応と全然違うんだけど。
「えっ、や…、分かんない。」
「分かんないってなんやし、自分の事あんに?ハッキリしろ。」
「わ、わっさん。」
「…何で謝るば?」
「や、なんか、その…。」
「はぁ、…もういいさ、やーなんか何処にでも行けばいい。」
「え?」
「あぬひゃーと付き合えよ、わんのことは気にしなくていいから。」
「いや、ちょっと待ってよ。」
「うるせぇ、触んな!」
「っ…。」
いや、でもそんな顔してそんな事言われたって放っておけるわけないし。
気にすんなって言われたって、余計に気になっちゃうし。
触んなってなに、何で凛、そんなに怒ってるの?
あの時のアレってもしかして冗談じゃなかったの?俺達付き合ってんの?
そしたら俺、単なる最低な男じゃん。…ナニコレ、俺どうしたらいいの。
INITIAL
「なぁ、裕次郎。」
「ん〜?なに、寛。」
「アレ…、凛の事だけどよ。」
「うん。」
「ここの所調子悪い様やしが、なんか知ってるか?」
「知らん、最近まともに口も利いて貰えてないし。」
「…やっぱり、やーが原因だったか。」
「えー、じゅんにな?わんの所為で凛あんなーなってんの?」
「それしか考えられん。」
「しんけんか。」
「…喧嘩でもしたのか?」
「いやぁ…。」
「したならしたで、早く仲直りしてくれ。」
とは言われても、何を言ってもまともに返事が返って来ないから、
どうやって仲直りすればいいのか分からない。
寛は一言謝ればいいんだよって言うけど、それさえもさせて貰えない雰囲気だ。
そもそも俺達が今してるのって、本当に喧嘩なのか?
それも何か、違う気がする。
正直俺にはもう、何に対して謝ればいいのかも分からない。