なんだかんだ紆余曲折ありながらも何とか始めることが出来たお付き合いですが、
あれからさらに2ヵ月後の今になって、新たな問題が浮上してきています。
単刀直入に言ってしまえば簡単な話なのですが。
つまり俺は、凛とエッチがしたい!!

「裕次郎、…今日、…泊ってく?」

キターーーーーーーーーッ!!これだよ、コレ。
正直に言えばかわいい、本当にかわいい。
だけどこの発言が、俺の言うところの問題だったりする。
実を言えばこれまでにも何度か、凛の方からこうやって誘ってくれたことはあった。
でも実際にこっちから近付くと、明らかに緊張しすぎだっていう青ざめた顔で縮こまってしまうから、
なんとなく手が出しづらくてそっとしておいてしまう。
頑張ってくれていることが分かるから、余計に不憫に思えて仕方ないのだけれど。

「いいの?泊りたいなぁ。」
「…ん。」
「そんで、まじゅんお風呂入りたい。」
「ヤダッ、それだけはしんけん無理!」
「あはっ、全力で拒否られたば。」
「当たり前やんに、ガキじゃねーんど。」
「ぶー、まぁいいや、まじゅん寝るくらいはしてくれるでしょ?」
「…っ。」
「え?何?わっさん、変な意味じゃねーらんど?普通にわんも凛のベッドに寝かせてくれってことで…。」
「しってる。」
「うん、…うん?そうなの?なら、いいけど…。」

ひとしきり変な空気が流れたところで、凛がドアに差し込んだ鍵がカチリと音を立てる。
横目でちらりと凛の様子を窺えば、いつもの緊張した表情をしていて少し焦った。
凛がスッと一瞬、何かを考える様に目を閉じて、そして開くと、無言で玄関のドアを引き、 俺を中に通してくれる。
バタン、とゆっくりと音を立てながら扉が閉まると、タイミングを見計らってたみたいに凛が口を開いた。

「…つーか、裕次郎がそういう事言わない様にしてる事も知ってる。」
「えっ。」
「あのさ、…わん、いいよ…、しても。」
「…っ、またまたぁ〜、なにいってんすかぁ?無理は禁物ですぜぇ、旦那ぁ。」
「なんで?そもそも、泊ってけって誘ってんのだって、裕次郎に我慢させる為にしてる訳じゃねぇし。
そういうの全然考えないであびてる訳でもないんどー。」
「…じゅんにな?」
「うん。…なんか、わん、裕次郎とだったら出来る気がする…てか、したい、…かも。」
「…ヴふぉッ!」
「あいっ、なんやしいきなり。」
「わっさん、…なんか嬉しすぎて吹いた。」
「あはっ、うける!しかも、きったねぇ!鼻水でてるど。」
「マジだ、ティッシュちょーだい。」
「二階、二階!」
「うー。」
「うり。」
「にふぇー。」
「おう、…あのさ、因みに今日、9時まで誰も帰ってこないって。」
「…ん。」

お互いにシャワーを浴びて帰ってくると、またいつものぎこちない雰囲気に戻っていた。
とにかく間が持たなくて、タオルでガシガシ頭を拭いてみたり、服をパタパタやってみたりするけれど
この場の何が変わる訳でもない。
いっそのこと何事も無かったかのように振る舞ってしまおうか。
けれどまさか、そんなことをすれば凛がどんな気持ちになるか分からない訳じゃない。
もう、いくら考えたってどう始めるかなんて分からないから、とりあえずタオルをイスに投げ掛けて、
こっちに背ぇ向けてベッドの淵ギリギリに座る凛の身体を、後ろから抱きしめてみた。
一瞬ピクンと震えた背中が、ギュッと縮こまるのを感じる。
耳元に唇を寄せて、なるべく柔らかい声で「こっち向いて。」って頼んだら、
首だけを傾けた凛が、珍しく自分からキスをしてくれた。
そのままの勢いでゆっくり身体ごと振り向かせ、徐々にベッドへ倒れこんでゆく。
なんだかこのままの流れでいけば、何とかなりそうな気がした。

「凛、…凛とちゅーしてんのキモチぃ。」
「…っん……。」
「ね、これ脱がせてい?」
「ぅ、ん…。」
「…は、すげぇ…、でーじスベスベ。」
「…ゆうじろぉ。」
「んぁ〜?」
「…ふっ…んぅっ、待ってヤダッ、それやんないでっ。」
「うん?ごめんね?」

凛の肌は想像以上にきめ細かくて、スベスベで、ずっと触っていたいくらいに気持ちがいい。
特に脇腹と内股と、それから腰回り。
無心で食んだり舐めたり撫で回したり、好き勝手にしていると、時折凛の腹筋がヒクンと反応するのが可愛い。
調子に乗って脇腹の下を噛んでみたら、今度はやめてって怒られた。
おとなしく顔を上げて鎖骨や心臓の上にゆるく吸いついてゆくと、凛が時々ため息みたいな声を出す。
多分だけど、少しずつリラックスしてくれているみたいだ。

暫く続けていると、なんだか凛の足がモゾモゾと動き出して、落ち着きがなくなった。
それを確認してへそ下へ吸い付きながらズボンと下着を少しずらし、腰側から少しずつ手を侵入させてゆく。
すると途端に凛の動きが止まり、声がしなくなってしまった。
そこで漸くしまった、と気付き、表情を確認すれば、泣きそうな顔で目を閉じ、口を引き結すんだ凛の顔。
どうやら完全にタイミングを間違えてしまったらしい。

うわぁ、と声に出してしまいそうになるのをなんとか堪えて、
色々と緊張をほぐそうと試行錯誤してみるものの、なかなか上手くいかない。
ぎゅっと強く握りこまれた凛の両手を解いて包み込むと、
大量の汗をかいているにも関わらず、ひやりとして冷たかった。
俺が性急に事を進めようとしたことで、
とたんに生々しい気配を感じて怖くなったのかもしれない。
凛の頬を撫でながら、配慮が足りなかったと反省した。

きっと、このまま続けても凛を気持ちよくしてやれない。
でも、やめようかって言葉は、寸でのところで押しとどめた。
凛がどれだけの勇気を出して“いいよ”って言ってくれたかは、俺が一番良く知ってる。

「凛、黙ってるとさ、緊張しちゃうね?」
「…。」
「なぁ、凛って意外と肌白いのな、骨盤の下とかさ、真っ白やっさ。ユニフォームと下着で二重に守られてるもんなぁ。」
「…うん。」
「そうだ凛、今更な事聞いていい?」
「…ん?」
「凛はわんのどこを好きになったのか、教えて?」
「なんで…。」
「聞きたいからぁ〜。」
「…タイプ。」
「へ?」
「タイプだっただけ。」
「じゅんに?そうなんだぁ…、わんは、わんはねぇ、凛のちばってるところがしちゅんよ。」
「…あっそ。」
「ははっ、照れてるー、かわいっ。」
「うるせぇ。」
「というかさぁ、タイプってなんやし、具体的にどんなところがタイプだったわけ?」
「知らね、どこが良かったんだろうな。」
「うわっ、…顔?最初は顔だば?やっぱ。」
「…いや、顔だったら正直、わんも負けてないと思うから…、別にそこじゃない。」
「くくっ、そこは反論できないやっさ。」
「やしが、やーの笑った顔は、でーじ好き…だと、思う。」
「えへっ、照れるー。」
「その顔はウザイ。」
「…褒めた後は律儀に叩き落としてくんのね、凛ったら。」
「ははっ、照れ隠しじゃね?」
「ひひひっ。」
「…うっ、ぁっ、あ…、…っ、…ぬーが?…今なにしたば?」
「なーんもしてなぁい。」
「んぅ…、ふっ、…えー、ゆくさーやぁ。」
「きもち?」
「んっ、ぅ…、うぅぅ、はっ、……。」
「ねぇ、凛、…大丈夫、怖くないよ。」

わざわざ緊張がぶり返すようなことを言ったつもりはないけど、
身体が強張るような状況に居るということを、思いださせてしまったとしたら嫌だな。
だけど凛は目を閉じると、口元だけでにやりと笑って見せた。


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