「ん――…っ、んぅうぁああっ…、はっ、…ヤベェ、これ…、くっそ痛ェ…。」
後ろから慎重に体を進めて行き、半分ほど繋がったところで凛が悲鳴に近い声を上げた。
凛はその痛みを冗談みたいな調子で言うけれど、顔の下に敷かれたシーツにはとめどなく滴が零れて染みを作っているし、
そのシーツを握る力み過ぎた手が血の気を失って白くなってしまっている。
どう考えても、冗談にしておけない程の痛みが凛を襲っていることは明白だった。
これでもまだ、半分しか凛と繋がれていない。
この時点でこれだとして、最後までいくのは無理ではないだろうか。
やめるなら、きっと今だ。
「…凛、大丈夫?痛い?」
「うぅー…っ、…ん、…だからっ、痛ぇっつってんだろ、すっげぇ痛ぇよっ。」
「ごめんね、…抜く?やめるなら、やめてもいいよ。」
「ダメッ、勝手に抜くなよ?やめねぇからっ、な…、……っは、こんくらい、我慢できるっ、…我慢する、ぅ、うぁっ…、はぁあっ…。」
「でもっ。」
「でもじゃねぇ、今やめたらぜってぇ、二度とやりたくなくなるっ!」
「だって!俺凛が痛いのやだよぉ…。」
「だから、お前が責任とって気持ちよくさせろよ?痛いだけで終わるとか最悪だろ。」
「…うん。」
「まぁ、とりあえず、…しばらくそのままじっとしてて。…今、中がハンパなく痛ぇ事になってるから。」
「うん。」
*
「あぁー…、ちょっと待て、裕次郎はまだ動くなよ、…っぅ、ん、……はっ、これビミョーに気持ちいいとこ見つけたかもしんない。」
「マジで?」
「うん、…うあっ、ちょ、待てってば、お前はまだ動くなよ、…そっちから動かれると痛いんだって。」
「そうなんだ、わかった。」
「ちょっとこう、なんだ、…あれ、俺がさ、自分で調節しながらさぁ、裕次郎が動いても平気なとこまでもってくから、その間じっとしててくれね?」
「え、なにそれ、どういう事?」
「だから、…ここ、これくらいまでならギリギリちょっと気持ち良いくらいなんだよ、だけどここまで来ると、
…ぅっ、痛いわけ、…それ、裕次郎じゃ分からないだろ?だから少しの間、俺に自分の良いように動かさせといてくれっていう事。」
「マジで、……ちょっとそれはあまりにも凛がエロ過ぎじゃね?」
「…なんだコイツ、殴りてぇ。」
「ごめんって、…ちょっと頑張ってみるよ。」
*
「んっ、ん…、ぁ…っは、…あー…、イイかも、結構良くなってきたっぽい。」
「よかった…。」
「なぁ、ちょっとだけ…、ぐっ、て動いてみて?」
「え?…こう?」
「んあぁっ、…あぁー…、やっぱキモチい。」
「え、…なに、やめて、エロい。」
「イラッ。」
「この格好だと凛、何言ってもひたすらエロいよ。」
「あそ、…つーかこれ、全部入った?」
「いや、まだ…7割くらい、…です。」
「はぁ?マジで?…お前のでかくね?」
「それは、なんというか、…失礼いたしました。」
「イラッ。」
「え、イラッ?そこイラッなの?」
「それは良いから、一回最後までやってみねぇ?」
「え、なに?俺が動いて良いってこと?」
「うん、最後まで一気に、ぐって。」
「…ぐっ!」
「あぁっ!…ダメダメ、痛ぇっ!戻って、戻って!」
「わっ、ごめっ、…痛いよね、ごめんね。」
「うぅ…、ダメだ、気持ちいいとこ通り過ぎて、激痛ゾーン入ったわ。」
「うわぁ…。」
「ごめん、…あのさぁ、もうあれ、7割で我慢してくんね?…その状態だとあんま良くなれない?」
「いや、俺は最初から気持ちいいから大丈夫だよ?」
「あ、そうなの?なんかごめんな。」
「ううん。」
「裕次郎さぁ、もう動いて平気だから。」
「うん。」
結局凛の腰の限界が来たのもあって、お互いに中で達することは出来なかったけれど、
そんな事よりも今はただ、体だけじゃなく心ごと、凛と繋がることの出来た事実が嬉しかった。
「うぅ〜っ、もっかい風呂入りてぇけど腰が立たねぇ…。」
「え、明日とか歩けなくなってるんじゃ…!?」
「それな。」
「シャワー連れてこうか?」
「いや、とりあえず一旦休憩。」
「うん…。」
洗面所から拝借したタオルを濡らして身体を拭いてやると、
凛はくすぐったいとケタケタ笑いながら身を捩る。
一通り体を拭き終ると、服を着せて凛の隣へ寝転がった。
凛はおとなしく俺の腕枕に収まって、きゅっと体を丸める。
やがて顔を上げた凛は、俺の首筋に唇を寄せながら、
恥ずかしそうに、囁くように、「はじめてが、裕次郎とで良かった。」と呟いた。
泣き出しそうな、笑っているような、小さな掠れた声だった。
くすぐったくて、あたたかくて、愛おしくて、むずがゆい。
初めてこんな気持ちで誰かを抱きしめている。
「俺も凛のはじめてになれて、良かった。」
凛の頭に顎を乗せながら、両腕に力を込める。
今度こそ凛は、照れくさそうに笑った。