「うん、いい感じいい感じ!凛ちゃんかわいいよ!」
「本当に?」
「ホントホントに、すっごい似合ってる。ね、寛君?」
「うん、綺麗だよ、凛。」
「っ…、マジで?…ありがと。」
「ふふっ。それでねー、靴はそうだな、そっちのヒールのある方のグラディエーターがいいかな…うん、凛ちゃんそのグラディエーター履いてみて?」
「えー?俺こんな高いの覆けるかなぁ?」
「大丈夫大丈夫!せっかくのデートなんだからお洒落して出掛けようよ!」
「…デート?」
「そうでしょ?男の人と女の人が一緒に買い物に行くなんて立派なデートじゃない。」
「え、あぁ…そう?」
「うんうん、それに初めて女の子としてお出掛けするんだからさ、いっぱい楽しもうよ!」
「うん…じゃあ寛、そこのグラディエーターとって。」
「……………。」
「寛?」
「………………ぐらでぃえーたー?」
「あー、ええと、そこのあみあみのやつ。」
「あぁ、これか…なるほど、剣闘士…たしかにな。」
「ん?」
「はい。」
「サンキュ、…………うっし。」
「履けた?」
「ん。…おぉ!?俺コレ結構もとの大きさに戻れてねぇか?」
「いやいや…まだ私より小さいよ、凛ちゃん。」
「つっても葵だって俺が男の時とほとんど変わらないくらい大きいだろ?」
「そうだけどー、女の子に大きいとか言わないでよね。」
「ごめんごめん、スタイルが良いってこと。」
「んー。」
「…ふたりとも、準備できたなら行くか?」
「「うん!」」
今日は昨日の約束通りデパートへショッピングをしに行く事になった。
こんな風なただの買い物でも、葵の言うように“デート”って名前をつけるだけで
それはなにか、すごく特別な事であるような気がしてわくわくする。
言われてみれば確かに、俺が女として出掛けるのは初めての事だからできるだけ特別な思い出を残したい。
俺としては、葵がこんな風に髪や服やメイクもきちんとしてくれて、
寛が俺のことを綺麗だって言ってくれただけでもう立派に良い日になったと言える気がするのだけれど。
「ひろし、ひろしー、やーこういうの好きだろ?」
「うん、好き。」
「やっぱりなー!………あのさ、」
「ん?」
「これ買って?」
「………しょうがないな。」
「やったー!寛大好き!」
「っ…、別にそんな事いちいち聞かなくたって欲しいものがあれば全部カゴに入れれば良い。」
「おぉー!寛ふとっぱら!」
「…凛ちゃんったら調子の良いことばっかり。」
「えー?本心から言ってるだけだぞ?」
「…そう?」
「特に寛大好きってところがな。」
「ぷっ、それは知ってる。」
「だろー?」
昔はファッションに携わる仕事をしていたくらいだから、俺は元々服を見ている時間が好きだったりする。
今日なんかは特に初めて女目線で買い物をする訳だから、すべてが新鮮で色々なものに目移りしてしまう。
幸いな事に、俺にはとことん甘い寛が今日は何でも買ってくれるというので遠慮せずに沢山買ってもらおうと思う。これも女の特権かな?
それでも俺の欲しいものすべてを買ってもらったりなんかしたら我が家は破産だ。
だからそんな事はしないけれど、全部は手に入らない、だからこんな風にひとつひとつ悩みながら選んでいく、そんな時間が一番幸せで楽しいのだと思う。
「凛ちゃん、これ似合いそう。」
「どれ?」
「このスカート。」
「えー?俺がスカート?ちょっと若すぎじゃねぇ?」
「そうかなぁ?凛ちゃん足細いし似合うと思ったんだけど…ねぇ、寛君?」
「そうだな、凛はスタイルが良いから何でも似合うと思う。」
「マジでー?…それより俺はこっちのタイプの服の方が好み。」
「…いや、それはやめておいた方が良いと思うぞ…後ろ見てみろ。」
「うぉっ!なんだこれ、後ろほとんど丸見えだし…今の若者はこんなもん着るのか。」
「ぷふっ…今の若者って!凛ちゃんが若い時だってあったでしょ、これくらい。」
「えー?そうかだったかなぁ…でもまぁ、俺がこんなの着て過ごしてたら寛が我慢できなくなっちゃうからやめとく。」
「なっ!?」
「もー!そういうこと言うのやめてよね、凛ちゃん。」
「ごめんごめん、娘の前で言う事じゃありませんでした。」
「分かったなら宜しい…あっ!これかわいい!こんなのどうかな?」
「「おお、それいいな。」」
「ひひひっ。」
色々な店をめぐって、そのたびに増えていく買い物袋に気分が弾む。
俺は人生で一度だって履いた事のないヒールで買い物をしているんだからどうしたって疲れは溜まるはずなのに、
そんな事が全然気にならないくらいに買い物に夢中になっている。
葵もさすが女の子というべきか、終始楽しそうに俺の服を選んでくれるし、寛もにこにこしながら付いてきてくれる。
普段の寛だったら自分の服を選ぶのだって少し面倒くさそうにして居るくらいだから、
きっと今だってそんなに楽しくはないはずなのに。俺は寛のそういうところが本当に好きだ。
俺だったらつまらない上に金まで払わされるなんて絶対御免だけどな…。
「ひゃー!かわいい!これかわいい!凛ちゃん絶対似合う!」
「わ、確かにそれはかわいい。」
「だよね?」
「あ、こっちに色違いある…どっちがいいかなぁ?」
「うーん…凛ちゃんだったらねぇ、寒色の方が似合いそうだからなぁ…どっちかというとこっち?」
「あ、俺もこっちがいいなって思ってた。」
「だよね!」
「うん。」
「…凛。」
「んー?なに、寛?」
「…ちょっと休憩しないか?」
「あー、さすがに疲れたよな、ごめん。でもここ見終ってからでもいいか?」
「ん。…じゃあ、トイレ行ってくる。」
「わかったー、いってらっしゃーい。」
「あれ?寛君どこ行くの?」
「トイレだって。」
「え?でもこのデパートってトイレ少ないからあっちに行っちゃうと全然みつからないんだけど…。」
「え、迷うだろうな…、あいつ。」
「そうだね…。」
「はぁー、でも確かに俺もそろそろ脚がきついかな。どっかで甘いもの食べないか?」
「いいね!じゃあ寛君が帰ってくるまでもうちょっとここ見て、帰ってきたらお茶しよ!」
「うん。」
『ねぇねぇ、そこのお姉サンたち。』
『ふたりでお買い物ですかー?』
「うーん、どうしよう?」
「なにが?」
「えー?お茶するなら何食べようっかなぁって…ケーキも食べたいしー、パフェも捨てがたい…。」
「両方食べちゃえ!」
「えー?太っちゃうもん。」
「…なーにが“太っちゃうもん”だ。そんな痩せた体してよ。」
「うー、女の子には色々事情があるんです!それにいくらデザートだけは別腹といったって甘いものなんてそんなに沢山食べれないもん。」
「ふーん。」
「…あっ!あれ美咲ちゃん!」
「ん?誰だよそれ。」
「クラスの仲が良い子なの。」
「へぇ、話して来れば?」
「うん、そうしたいんだけど…結構離れたところにいるからなぁ。」
『あれ…ねぇねぇ、聞こえてる?』
『俺達そこの金髪のお姉サンに話しかけてるんですけど。』
「…ねぇ、凛ちゃん…この人たちってもしかして凛ちゃんに話しかけてるんじゃないの?」
「あ?…何が?」
「ほら、後ろ。」
『あ、よかったぁ…やっと気付いてくれた。無視されてたらどうしようかと思った。』
『俺達お姉サン達見つけてあまりに綺麗だから絶対にモデルさんだよって話になって、それで確かめに来たんですけど。』
「はぁ?モデルじゃないけど?」
『えー、本当?それにしても美人過ぎるだろ。』
『うん、俺こんな綺麗な人リアルで見たのはじめて。』
寛がトイレへ行くとここを離れてから少しもしない内に、なんだか面倒くさそうなやつらから声をかけられた。
それは所謂ナンパというやつで、気の良い台詞をつぎつぎと吐いてはこちらに好感を持たせようとしてくる。
まぁ、寛に言われればこっちだって舞い上がってしまうような台詞だけれど、
所詮見知らぬ男ごときにそんな言葉をかけられたところで何も感じないし、正直に言ってうっとおしいとしか思えない。
大体なんで俺達に声をかけてくるんだよ。他にも買い物客はたくさん居るだろう。
『今時間ある?』
『俺達とお茶しません?』
「はぁー…、確かに時間はあるっちゃあるけどよー、なんでわざわざお前らとお茶しに行かなきゃいけないわけ?この状況見てわかんない?俺達今デート中なの。」
「え…凛、ちゃん?今の自分の状況わかって…る?それは今効かないと思うけど…。」
「え?…あ、そうだったぁー…俺今女じゃん…デートって…もっとましな言い訳考えろよなぁ…普通に時間が余ってるアピールしかできてねーよ。」
『おっ、デート?デートなら俺達としよー!』
『男居たほうが楽しくないっすか?』
「んー、悪いけど俺女にしか興味ないから…それに俺達もう結婚してるんだよ、な?」
「え?…う、うん。」
「ほら、結婚指輪。」
『…うわっ、そういう嘘つくんだ。』
「は?嘘じゃねーって。」
『でもそっちの人は指輪してないじゃないですか。』
「うっ…。」
「見事に裏目に出てるね…。」
「あーっ、もう、分からないかなぁ?俺はお前達みたいなガキんちょにはぜんっぜん興味ないわけ。」
『わ、ひどいなぁ…俺達だってお姉サン達とほとんど歳変わらないと思うよ?』
『うん、これでも一応今大学行ってますし。お姉さんたちもそれくらいですよね?』
「ううん、全然。」
『ふ、またまたぁ。』
「こいつら…自分達がナンパしてるのが30代後半のただのおっさんだって知ったらどんな反応するかな。」
「…ふっ、ちょっと!笑わせないでよ。」
「あ!そうか、その手があるじゃん。」
「ん?」
「ねぇ、俺30代後半で子持ち。お前らくらいの歳でさ、かわいい娘がいんだ。
最近再婚したばっかりで、旦那は強面で無口だけどやさしいやつなの。今俺ちょー幸せだし、お前らの突き入る隙なんてないぞ?」
『ぷっ、もうその嘘は効きませーん。…くくっ、でもお姉さん面白いね。』
『確かに、興味湧く。もっとマシな嘘つけばいいのに。』
「な、嘘じゃねぇし。」
『はいはい、それよりさ、やっぱ俺達と5分だけでもいいからお茶しよ。』
『俺達が何でも奢りますんで。』
「はぁ?だから嫌だって、しつけぇー…葵、もうあっちの友達んとこ行って来い。」
「え?いいの?」
「うん、いー、いー。」
「わ、かった…ごめんね、ちょっと行ってくる。」
『あ、ちょっとどこ行くの?』
「いいだろ、何処だって。お前らには関係ない。」
『ちぇー、つれないなぁ。』
『でもお姉さんは残ってくれたって事は俺達とお茶してくれるんですよね?』
「なんで俺が。」
『いーからいこっ!しゅっぱーつ!』
「は?ちょ、離せって…おい!…くそっ、なんで俺こんなに力弱くなってんだよ…。」
あー、もう、こんなやつら俺が男だったら一発なのに。
女ってやっぱ大変。沢山危険な事があるのに自分じゃどうすることも出来ないなんて。
履き慣れない靴で散々歩き回った所為もあってか碌な抵抗もできないまま、左腕をつかまれてずるずる引っ張られて行く。
大体なんで、俺が見ず知らずの男のお茶なんかに付き合ってやらねばならんのだ。
そもそも5分で終わる話ってなんだ。そんなもんで納得するやつがいたら見てみたいね。
「おい、お前ら何してんだよ。」
「あ、寛!」
『え…、お兄さん誰?』
『…でっけぇー。』
そんな風に半場あきらめモードで引きずられていると、後ろからよく聞きなれた声が聞こえてきた。
振り返ると案の定それは寛のもので、やっと迎えに来てくれたという安心感から一気に力が抜けた。
とはいえ寛は俺でも見たことの無いような怖い顔をしてこちらを見ているので、なぜか俺までもが何かをしでかしてしまった気分で恐縮してしまう。
「誰って…お前が今その汚い手で触れてる人の旦那だけど?」
『だんな?』
『旦那さん………。』
『えっ!お姉サン本当に結婚してたの!?』
「だから言っただろうが。」
『えーっ!?』
「聞かなかったのは、お前ら。」
『うっ…。』
「いいからごちゃごちゃ言ってないで、早く俺の嫁返して貰えないかなぁ?」
『で、でもさ、証拠は?証拠が無いじゃん!』
「はぁ?証拠?よくもまぁ、寛のあんな顔見てそんな事言えるな。」
「証拠…それならこれ、指輪がある。」
『そういうんじゃなくて、もっとあんたしか知らないような事とか言ってよ!』
「はぁ?なんだよそれー、めんどくさい奴ら。」
「はぁー…、名前は…知念凛、…3月3日生まれ、魚座のAB型、男。俺とはつい最近再婚したばかりで18になる娘がひとり。好物はいちごカ…
『ちょいちょいちょい!待って待って!その前に何かひとつおかしなとこ無かった?え?男?』
『確かに俺もそう聞こえたけど…言い間違えですよね?』
「いいや、本当のことだぞ?な、寛?」
「ん。」
『えぇ!?嘘だ!そんなの絶対認めない!』
『だけど…確かにさっきお姉さんが言ってた事と全部同じだよ…娘がいるとか、再婚とか。』
『まじかよー…、なにこれ。』
「おい、いいからその手を離せ。俺もそろそろ我慢の限界だ…本当イライラする。」
「何か起きないうちに行った方がいいぞ。」
『えー、でもせっかくこんな美人見つけたのに…。』
『話するくらいいいじゃないですか。』
「あぁん?ごちゃごちゃあびてるとたっくるすんどー。」
『ひぃっ、すみませんっ!』
『お、お返しします。』
「謝ってる暇があったら早く視界から失せろ。」
『う、は、はいーっ!』
『申し訳ございませんでしたー!』
「…すごっ。」
「…。」
「いやぁー、助かった…ありがとう、寛。本当だったら腕振り払ってでも逃げるところなんだけどよぉ、
如何せん力が出ないって言うか…女の力ってこんなに弱いのな。」
「…。」
「あーこれはダメだって思ったら寛が来たからさ、よかったけど…ってうぉっ、ちょ、何?」
寛の言葉の本当の意味通り、人ひとり殺しかねない形相で放たれたドスの効いた声に、
ナンパ男達はすっかり青ざめて素っ飛んで逃げて行った。
けれど寛の機嫌は未だに直らないらしい。
突然俺の手を握ったかと思うと、そのまま何処かへ向かってズンズン進んでいく。
何も答えてくれないし、話してもくれない。
いつも穏やかな寛のピリピリした様子は俺から見ても怖かった。
「っ…ちょっと、なっに、…ねぇ、寛!お願い、…話くらい聞いてよっ!」
「…。」
「ねぇ、なんで?…確かに強く言わなかった俺も悪いけどさ、そんなに怒る事ないあんに?」
必死に訴えても無言で引っ張られ続け、最終的に辿り着いたのはトイレ。
…ん、トイレ?
寛は何の戸惑いも無く俺を連れて男子トイレへ入って行くけれど、これはまずい。
中には人も居るし、案の定俺を見た小便中のおっさんやらお兄さんやらは『わっ!』とか『うぉっ!』とか声を上げてオロオロしている。
「っちょ、ここ男子便だろっ!皆驚いてるじゃねーかよ!…っ、なにっ、そんな強く引っ張るなよっ。」
―キュッ…シャー―
寛は俺を洗面台の前まで連れてくると、水道から水を出して俺のさっきまでナンパ男に掴まれていた方の腕を熱心に洗い出した。
俯いた顔は、心なしか泣きそうな顔をしているようにも見える。
「寛…。」
「…。」
「ねぇ寛、もういいって。」
「…俺が、嫌だ。」
「別にあんな男に触られたくらいでどうでもいいだろ?」
「…凛には、誰にも指一本触れさせたくない。」
「………寛さぁ、なんか独占欲の塊みたい。」
「っ…。」
―キュッ―
「っ…、寛?どうしたの?」
寛は俺の言葉を聴いて一瞬我に返ったように目を見開いた後、
水道から流れる水を止めて、急に俺の事をぎゅっと抱きしめてきた。
「ごめん…ごめんな凛…俺が迂闊に目を離したりなんてしたから…。」
「…別に、そんなの寛の所為じゃないだろ?」
「…そうかもしれないけど、俺があの場所から離れなければ凛だってこんな思いをしなくて済んだ。」
「…。」
「…こんな風に意地になってみっともないって分かってる…でも俺以外の男が凛に触れるのは嫌だ。」
「…なんか嫉妬心全開なセリフだな。」
「…自分でも、わがまま言ってるのはわかってる。こんなに嫉妬深いことも知らなかった。
でも本当に、凛があの男に触られてるのを見てすごくイライラした。」
「…まぁ確かに、知らない女が寛に触ってたら嫌だけど…だからってここまでするか、普通。俺にまで口聞いてくれなかったし…それにちょっと怖かった。」
「ごめん…それは悪かったと思ってる。でも頭に血が上ってつい…。」
「それは…そんだけ俺が寛に想われてるって事でいいのか?だったら嬉しいんだけど、さ。」
「ん?」
「忘れて欲しくないのは、俺が3月3日生まれの男、つい最近寛と再婚したばかりで“18になる娘がいる”ってところだよな。
もっと言うと俺の子は18になる娘じゃなくて18になる“美人”の娘だから。俺達が迂闊に目を離した隙に何かされててもおかしくないよ…。」
「あ…あぁっ!凛っ!行くぞ!いそげ!」
「うぉっ、ちょっとは落ち着け!」
・
・
・
「それは大変だったね…凛ちゃん、ひとりにしてごめん。」
「いいっていいってどうせ何も無かったんだし。」
「本当は寛君を探しに行こうと思ったんだけどすれ違いになっちゃったかな。でも本当、何も無くてよかった。」
「うん、ただ寛の怒った顔…葵が見たらどんな反応するかな。」
「えー?そんなに怖いの?寛君っていっつも優しいから想像が付かないな。」
「…。」
「ほら寛、俺の分もパフェ食べろ。イライラには甘いものが一番だぞ?」
「ん、……うまい。」
「それ全部やる。」
「うん。」
「なーんか、昨日からすーぐ腹一杯になるんだよなぁ。」
「それは女の子だからだよ。」
「そっかぁ…なんかこんな少しばっかりじゃ食った気にならねぇ。」
「でもすぐおなか空くんでしょ?」
「そうそう、常になんか食べてたい感じ。」
「わかる!それで衝動に負けて食べちゃうとブクブク太っていくのよ。」
「…あぁー、なんか女って色々大変なのな、めんどくさい事ばっかり。」
「そのうちそれが自然になっていくよ。」
「そういうもんかな。」
「うん。」
「寛。」
「ん?」
「やっぱひと口ちょーだい。…あーん。」
「…ん。」
「甘いな。」
「うん。」
―ガタンッ―
びくぅっ!
「っ、ど、どうした、寛!?」
「フシャ―ッ!」
『うおっ!最悪!さっきの大男!』
『逃げろ!』
「………確かにすごい…迫力、だね…。」
「だろ…。」