「カイクン……スキデス。」
え、今なんて?
「好きです。」
インコって…きっと飼い主が言った事とか、何処かで聞いてきた言葉しか喋らないよな。
でもこいつ…今何か言ったよな、永四郎の奴が裕次郎のこと…好きみたいな言い方だった。
もしかしてこれ…聞いちゃいけない事だった?
ゆんたくー
今日は裕次郎と一緒にふたりで遊ぶ予定だった。
けれど裕次郎が昨日、永四郎の家に泊った時に忘れてきたものを取りに行きたいから
先に永四郎の家に寄っても良いかと聞くので了承して永四郎の家へ向っている。
それから、裕次郎がそれならば永四郎も混ぜて一緒にあいつの家で遊ぼう!と言い出したので、俺は仕方なしにそれに従う事にした。
やはりふたりきりで遊べることを楽しみにしていたのは俺だけだったらしい。
「そういえば昨日、あにひゃーなにか隠してたんだよな…。」
「なにかってなによ。」
「それは分からんやしが…でーじ怪しい物入れがあったんばぁ。」
「中身は見なかったのか?」
「だって必死に隠してたし、わんが近付いた瞬間あにひゃーが何処に居てもバレてるんばぁよ。甲斐クン!甲斐クン!ってうるせーの。」
「ふーん。…なんか面白そう。」
「だろ?」
「うん。」
「今日こそは見てやるさぁ。」
俺は裕次郎の裕次郎らしからぬ怪しい笑みを横目に、どうでもいいことを考えていた。
たとえば今日、本当は裕次郎とふたりで海に行きたかったんだとか、
裕次郎だけ1人で永四郎の家に泊るってどういうことだよ!とか、
その他もろもろの主に永四郎に対する嫉妬やら何やらを。
まだまだ暑い日差しの中を歩きながらそんなことをしばらく悶々と考えていたのだけれど、それも裕次郎の「着いた」という一言で終わりを告げた。
「これ?」
「おう!」
「ふーん…何気にでかいな。」
「そーだろぉ?」
別に裕次郎の家でもないのに得意気にしているのはなぜだろうか。
そして何やらとてもウキウキした表情をしている。
それも冷静に考えればいつもの悪戯の前に見せるあの表情だった訳なのだけれど、なんだかこの時はそんな風に考えられなかった。
「えーしろー!来たどー!」
「あ、ちょっと待って下さいね。今降りますから。」
裕次郎の呼びかけに、二階の窓からひょいっと顔を出して永四郎が答えた。
その後すぐに玄関を開けてくれて、裕次郎は靴を脱ぐとさっさと二階へと続く階段を上って行った。
永四郎もそのあとに続いて二階へ行ってしまう。
俺はというと、初めて来た家でそんな行動をとれるはずもなく、
ゆっくりと靴を脱ぐと玄関横にいたインコ(永四郎のペットらしい)を見つけて挨拶をしようと近づいた。
その時にインコが言った一言。
“甲斐クン、好きです”
もしかするとそれは俺の聞き間違えだったかもしれない。
インコの発音ってなんだかんだ言って結構曖昧なものだったりするし…
けれど繰り返された言葉は、俺にはどう考えてもそうとしか聞こえなかった。
だとしたら永四郎…とか考えていたら、本人が階段を降りて戻ってきてしまったので、俺は慌てて何でもない風を装う。
「平古場クン、何してるの?こっちですよ。」
「え?あぁ…インコうじらーさんやーって。」
「そうですか?その子おしゃべりも上手なんですよ。」
「へ、へぇ…どんな事しゃべるんだ?」
「んー、大抵は俺なんかがしゃべった事とかを真似してしゃべったりしますけど。たまに歌なんかも歌いますね。ずっと聞いていると面白いですよ。」
「ふーん。いつも玄関に居るのか?」
「大抵はリビングか俺の部屋かって感じですね。玄関にずっと置いておくのも可哀想ですし。それに夏は暑すぎるでしょう?」
「あぁ…やーの部屋に居る時もあるんだな。」
「そうですね、餌をやったり世話をするのは俺の役目ですから。…そう言えば、昨日甲斐クンが来た時なんかも部屋に居ましたね。彼が一緒に遊びたいって言うものだから。」
「ふ、ふーんそうか。」
「…!甲斐クン!ちょっと君ねぇ、勝手に人の部屋探ったりしないで下さいよ!」
「…。」
そのあとダッシュで、というよりか縮地法(もはや左右前後ならず上下まで使いこなせるようになったらしい)で
部屋へ戻っていく永四郎の後から、俺は何も聞かなかった風を装ってそろそろと部屋に入って行った。
「凛君ー助けてぇ!」
「あいっ!?ぬーそーが。」
「甲斐クンが余計な事しかしないので。」
「わかったよ、わかった、わっさん!」
裕次郎に馬乗りになっていた永四郎が謝罪の声を聞いて上から退いた。
普通に考えてこれは裕次郎の行動を制御するものであって他には何の意図もない行為だと思うのだけれど、
あの言葉を聞いてしまってからではなんとなく裏があるように思えて仕方がなかった。
「永四郎…俺もいるって事、忘れるなよ。」
「はい?なんの事ですか。」
「いや、なんでもない。」
「?」
「それよりさぁ、怪しいのってここ?」
「あい!なんで言っちゃうの凛君!」
「無理に開けようとしてだめなら直接交渉すればいいあんに。永四郎、ここに何か入ってるばぁ?開けてもいいかやぁ?」
「…別に、君達が楽しめるようなものは入っていないと思いますが。」
「ふーん、だってよ。もういいだろ?どうせやーが考えてるようなものはねーらんばーよ。」
「ちぇっ、永四郎だってエロ本の1冊や2冊持ってると思ったのに。」
「…君、そんなものを必死に探してたの。」
「え?うん。」
「はあ、そんなもの見つかるわけないでしょ。持ってないんだから。」
「えー、しんけん?つまんねーの。」
目に見えてやる気を失くしたといった感じの裕次郎に気を緩めたのか、
何か持ってきますね、と部屋を出て行く永四郎を見送って、俺は即行で問題の物入れを開ける。
…なんというか、恐ろしい位の数の昔のアイドルグッズなんかがわんさか入っていて、
ポスターの中のキュルンとした目と視線がばっちり合ってしまったので、開けた時と同様即行で扉を閉めた。
「えー!?なんで凛君が開ける時は永四郎気付かないばぁ?ずるい。」
「…やーがもたもたし過ぎなんだろ。」
「えー…。てゆうかさぁ、なんで閉めちゃったの?わん全然見えなかったんやしが。」
「まあ、ホントにやーの期待してるようなもんは入って無かったさぁ。ただ、恐ろしいもんが入ってた。見ない方が…やーの為だぜ。」
「…そうなの?じゃあ、やめとく。」
「おお…。」
裕次郎にあの中を見せないことで自分のイメージを悪くしない様にしていたのか何なのかは知らないけど…
そのあと暢気な顔をしておまたせーとか言っている永四郎を見てなんだか色々考えた。
こいつって、意外と人間味のある奴だよな、とか。
「永四郎ぉ、やー…本当は殺し屋なんかじゃなくて。」
「はい?」
「スナイパーと呼ばれたいのか…」
「?」
「星屑の。ぷっ」
「…!平古場クン…見ましたね…。」
にやりと笑う俺の表情を見た後、裕次郎の方をガッと睨みつける様にして振り返る永四郎。
裕次郎は必死の形相で「俺は見てない!」を連呼するもんだから、なんだかサスペンスドラマのワンシーンの様になってしまった。
「はぁぁ…まぁ、バレてしまったのなら仕方が無いですけど。口外はしないで下さいよ。」
「んー了解。……ゆーじろー、永四郎って昔のっ」
「えー、平古場。なまわんがあびたくとぅ、聞いてなかったとはあびさせねーらんどー?」
「わ、わかったさぁ。…まったく、すーぐわじるんだからな、スナイパーは。」
「きぃっ!」
「はいはい、もう言わねーって。」
「…で、今日は何しに来たんですっけ?」
「あれ?言ってなかったかやぁ、忘れ物取りに来た。」
「忘れ物?」
「うん、お風呂借りた時外したアクセサリー全部忘れて行っちゃった。」
「ああ、それだったらここに…。」
「おぉ、にふぇー。」
「母が何だかジャラジャラ持ってきたので何かと思っていたんですが。」
「うん、よかったさあ。」
「やー、いつもの指輪のネックレスだけはちゃんと着けてんのな。」
「うん。これはいつもの癖で風呂入る前に取ってカバンに入れといたんばぁ。やしが他のは洗面所で気付いて外したら忘れちゃった。」
「ふーん…永四郎に会うってだけでわざわざそんなもん着けてく必要ないのにやぁ。」
「違うさあ、その前に買い物行ったんばぁよ。永四郎服のセンスいいから一緒に選んで貰ったんさぁ。」
「…へぇー、そうですか、良かったね。」
「うん!」
「けっ。つーかなんかないの?暇あんに?」
「なにか?…トランプとかしかないですよ。」
「トランプゥ!?…しょうがねえ、それすっか。」
「え、トランプするんですか。」
「やーがトランプしかねぇっつったんだろうがよ。」
「はあ、しょうがないですね。」
「で?何やるばぁ?」
「裕次郎がやりたいのにしてやる。」
「え?いいの?うーん、じゃあ神経衰弱。」
「ふらー、それだとやーの敗北が目に見えてるだろうが。頭使えよ。」
「なにそれひどっ!…じゃあUNOが良い。」
「もうそれトランプじゃねーし。」
「でも永四郎UNO持ってるあんに?たしか二番目の引き出しのー。」
「ええ、ありますよ。」
「つーかなんで裕次郎が永四郎の私物の場所全部把握してんだよ!?」
「えー?だって幼馴染だし。」
「関係無ぇ…俺なんて幼馴染やしが寛がパンツをタンスのどの段に入れてるか知らないし休日何をして過ごしてるかも知らないし
股下何cmかも知らないしバレンタインチョコ何個貰ったかも教えてもらえないしファーストキスの相手も教えてもらえないんだぞ!」
「…完全に股下の件は平古場クンの事を思って言わないでくれていますよね。」
「わー!凛君ひどいよ!なんで寛にそんなこと聞くばぁ?自分がチョコいっぱい貰ったからって!」
「ファーストキスの件は…まあ照れているのか、もしくは…したことないか、ですね。」
「えー、一回はあるはずやし。ほら、バレンタインの時にさ…あぁ、思いだすと寒気が!」
「ああ…そういうこと。相手が相手なだけに言えないんでしょうね。」
「いったー知ってるんか!なんで俺だけ知らないんだしよぉ!」
「「だってそこにいたもん。」いましたから。」
「…は?そこにいた?…どういう状況!?」
「てゆうか本人だし、わん。」
「………ぎゃあああ!寛の奴!」
「まあまあ、UNOシャッフルし終わったし…7枚ずつ配ります。」
「おう。」
「ひろし…やー…なにしてくれてんだ…しんけん…ひろし…くそっ…ああ…ふざけんな…」
「UNO!」
「は?やー、まだ1ターン目だぞ、あほか。」
「うん、でも全部おんなじカードだったんだもん。一枚だけ違う。」
「…奇跡だ…。」
「じゃあ次は平古場クン。」
「おう、スキップ。」
「ちっ。」
「あーがりっ!…ってこれつまんない…簡単すぎる。」
「はっ、まあやーはそこで観とけ。ドロ−2。」
「ふっ、ドロー2返し!」
「甘いな、ドロー2返し返し!」
「君こそまだまだですよ…ドロー2返し返し返し!」
「なっ!?…くそ………とでも言うと思ったか!ドロー2返し返し返し返し!」
「…ふふふふふふっ…これで最後ですよ!ドロー2返し返し返し返し返し!!」
「…はぁ、くそっ…えーと?何枚だ?…12?なんだよこれ…俺の手札もっさもさやし。」
「あはははっ…てゆうかさ、これ全然切れて無いじゃん。」
「まあ、適当にさっくり切ってしまいましたからね。それにしてもこの固まりようは異常ですね。」
「そういえば…わん前にここ来た時暇すぎて全部のカードを種類ごとにまとめた気がするさぁ。」
「あのねえ、君。ふざけてるの?」
「…ごめんちゃい。」
「じゃあもう一回やり直しましょうか。」
「おう。」
シャカシャカシャカ
「はい、7枚。」
「おう、サンキュ。」
「さっき裕次郎勝ったから裕次郎からな。」
「え?いいの?やったー!じゃあ、ワイルドドロー4!」
「いきなりかよぉ…で?色は?」
「黄色!」
「うーん、じゃあリバース。」
「えーと、スキップ!」
「あ、じゃあ2枚出しで緑にしよ。」
「えー、じゃあわんリバース。」
「スキップ。」
「…あの、気のせいか俺、さっきから一回も順番が回ってこないんですが。」
「…ばれちゃった?」
「まあ勝負ってそんなもんだろ。」
・
・
・
「てゆーかよお、さすがに3人でUNOって結構飽きてくるよな。」
「うん。」
「昨日何してたわけ?まさかふたりでずっとUNOとかトランプしてたわけじゃねーらんさに。」
「昨日ですか?昨日は…DVD観たり…アクセサリーのカタログ一緒に観たり…。」
バンッ!
「あるなら最初から言えよ!」
「…でもそれ全部昨日甲斐クンが持って来たやつだし。」
「…はぁ。」
「じゃあさ、ぴーちゃんと遊びたい。」
「おー、いいじゃんそれ………え?」
ぴーちゃんって誰だ。あれだよな、あの鳥。
ぴーちゃん…ぴーちゃん…ぴーちゃん…
“甲斐クン、好きです”
ぎゃあああー!ちょ、やめてぇ!そんな危ない事しないでぇ!
はっ…ちょっと待てよ?……昨日裕次郎はここでぴーちゃんと遊んでいたはず。
それならばぴーちゃんの言葉を聞いた可能性が高いのに、
今日のふたりは別段変わった様子も無く普通に過ごしている。
考えたくないけど、絶対嫌だけど、本当にそれだけは絶対嫌だけど!
もしかして………
「ふたりって、付き合ってる?」
「「は?」」
「誰が?誰と?」
「平古場クン、話に脈略がなさすぎてこちらには君の言いたい事が全く伝わってきていませんよ。」
「だから…いったーふたりが付き合ってるのかって聞いたの、俺は。」
「「はぁあ!?」」
「なんで?どうしてそうなるの。」
「確かにわんは永四郎がパンツをタンスのどの段に入れてるか知ってるし休日何をして過ごしてるかも知ってるし
股下何cmかも知ってるしバレンタインチョコ何個貰ったかも教えてもらえるしファーストキスの相手も教えてもらったけど!
…だからって付き合うとかそんなんじゃないし!そもそもわったーイキガ同士どー?」
「そうそう、そうですよ。俺達ふたりとも男なんですよ。」
「そんなの関係無いやし。」
「平古場クン、ちょっとどこ行くの。」
「おーい、りんくーん?」
ああ…なんだ。もしかして俺の早とちり?良かったようなそうでもないような。
だって裕次郎が永四郎と付き合っていない理由に男同士だからってのが含まれてたし。
つまりそれはあいつもそれが変だってことを思っているということで、
だから俺があいつのこと好きとか知ったらどんな反応されるかわからないし、
それにもしかしたら避けられたり拒絶されたりだってするかも知れない…。
そんなの嫌だ。
…なんか今更怖くなってきた。どうしよ、俺。
「ピチチッ…ゴーヤ…ゴーヤ。」
「なぁ、やーどこで聞いたの?さっきのセリフ。」
「ピチ…?チュンチュン…。」
「永四郎が言った訳じゃないの?わんでーじ混乱してんだけど。…それにちょっと怖い。」
「ゴーヤ?…ピチ…ゴーヤ?」
「自信ないんだよな。…わん、裕次郎が好きなのに。」
「…ピチッ…ピチュン。」
「わん、裕次郎が好きだ。…裕次郎が好きなんだ。」
「…ピチッ…カイクン?カイクン?」
「うん、裕次郎…しちゅん。」
「ピチチッ…ピチチッ…。」
「はあ、もうなんか嫌になってきた。ちゃーすがやー。」
「ピチチチチチチチッ…ゴーヤ、ゴーヤ。」
「あ?」
もうなんだかこんな事をしている自分が嫌になってきて、そのまま帰ってしまおうか、
なんて考えて靴を履いている時、後ろから永四郎に声を掛けられた。
「平古場クン、なかなか帰ってこないから何をしているのかと思えば…というより、何をしているんです?」
「え?…いや、ピーちゃんが庭のゴーヤが花を咲かせたよって言うから見てやろうかと…。」
「はあ、それ一体いつの話だと思っているんです?」
「だ、だよなあ…。((っていうか本当に言ったんか))」
「で?何しにここに来たの?」
「あぁ、ピーちゃんと話してた。」
「ふーん。甲斐クンも待ってるし戻りましょう。」
「うん。」
「ピーちゃんも連れて来て下さい。」
「うん。」
・
・
・
「ピチチッ…ゴーヤ…ゴーヤークワスヨ。」
「はあーさっきから同じことしか言わねーしよ。」
「仕方ねーらんばぁ、永四郎が同じことばっか言うんだろ?毎日毎日。」
「そんな事無いんですけどね。」
「ピチ?…カイクン、カイクン。」
「おぉっ!わんのこと呼んでるー!」
「カイクン…ゴーヤークワスヨ。」
「あ…え?なんだよぉ…やーまでそんなこと言うんばぁ?ちぇっ。」
「カイクン…カイクン。」
「なんだよ、今度はそればっかか。」
「カイクン…。」
「なぁに?ぴーちゃん。」
「…スキデス…スキデス。」
「あっ…言っちまった…。」
「ぷはっ!あははははははははははっ!」
「え?」
「やー、まだそんな事言ってんのか。おもしろい。」
「もう、笑い事じゃないですよ。これじゃあまるで俺が甲斐クンのこと好きみたいじゃないですか。」
「あ…え?違うの?」
「あ、まさかとは思いますが、君のさっきの訳のわからない質問はこれを聞いた所為だとか言いませんよね。」
「………言う。」
「…。」
「あはははっ、いいじゃんおもしろいじゃんっ!凛君が勘違いするとかでーじ面白い!」
「やめてよね。」
それからふたりに聞くところによると昨日こんな会話が繰り広げられて…
* * *
コンコンッ
「はい、どうぞ。」
『裕次郎君いらっしゃい。』
「あ、お邪魔してます。」
『あら、ピーちゃん裕次郎君に遊んでもらってるの?良いわね。』
「変な言葉教えようとしなければの話だけど。」
「そんなことしてないあんに?」
『ふふ、そうそう、今から夕ご飯のお買い物に行こうと思うんだけど、裕次郎君はパイナップル好きだったよね?』
「パイナップル!?」
『そうそう。』
「はい、好きです!大好きです!」
「ちょっと甲斐クン!声がでかすぎますよ!」
「ごめんちゃーい。」
『ふふふっ、じゃあ行ってくるわね。』
* * *
それから中途半端な所だけを覚えたピーちゃんが聞く人によっては何か誤解しそうな発言を繰り返すものだから、
永四郎としてはほとほと困っていたらしい。
「何だ…そっか。」
「まあ誤解は解けたしいいばぁ?」
「そうですね。」
「あ、そういえばよ、ピーちゃん歌ったりするんだろ?」
「ええ、偶に。」
「じゃあ国○さゆ○とか歌うんか。」
「ええ、歌いま…平古場クン…。」
「あははっ、自爆!自爆したこいつ!」
「なになに?何の話してんの?」
「いえ、何でもないですよ。」
「いやな、こいつが「俺の母が!」昔のアイドルヲタクって話!」
「ふーん、永四郎の母さん昔のアイドル好きなんか。」
「ええ、まあ。」
「ふっ、いつかバレるぞ永四郎。」
「その時は犯人が割れているのでね。」
「…ピチュンッ…スキ…。」
「まだ言ってる−!あははっ!」
「ユウジロウ…シチュン。」
「「「…。」」」