「知念クン、ちょっと。」
「ん?」
((なんだ?真剣な顔だばぁ。))
「ちょっとここでは。」
「…。」

あの日から知念クンの心情を注意深く読んでいたら、
やっぱり平古場クンの事を考えていることが多い。
普段はあまり気にかけていなかったあのごちゃごちゃとした頭の中にも、
やっぱり平古場クンが登場することがよくあるし、そもそも彼のための実験装置について考えていることが多い。
だからと言って俺には何の関係もないのだけれど、
やっぱり大事な戦力にこうもぼんやりしていられるとさすがになにか対策を練らなければいけないような気にさせられる。
なにより、もともと俺は大切な仲間が悩んでいる時に放っておけるような質ではないのだ。

「…ここまでくれば大丈夫でしょう。」
「どうした?永四郎。」
「ちょっと確かめたいことがありまして。」
「…。」
((確かめたいこと?…会計は何度も確かめたし間違いはないはず…
 あのゴーヤーが取られてたのはわんのせいじゃない、晴美が勝手に取って行っただけやっし。
 それともまた凛や裕次郎がなにかしでかしたのかや。いや、でも…))
「知念クン、あの、大丈夫ですか。」
「あ、ああ。」
((…またぼーっとしてしまったさあ。))
「あのですね、知念クン。あなた、なにか悩みがあるんじゃない?」
「悩み?……。」
((なんのことかや。…まさか凛の事を言ってるわけじゃないだろうし。))
「あの、じゃあ俺の秘密、聞いてくれませんか。」
「…ああ。」
「俺、実は…。」
「…。」
((…やっぱりくぬひゃー実は中学生じゃなくて結婚して子供もいますとか?))
「違います。俺は正真正銘の中学生ですし、子供なんていませんよ。」
「…!」
((なんでわんが考えてる事わかったんばあ?))
「今ので分かってもらえたと思うんですけど、実は俺、周りの人の心の中が分かってしまうんです。」
「!」
「だから、その。知念クンが、平古場クンのこと…どう思ってるかも。」
「…それは、本当か?」
「はい、知念クンだから話しました。力になりたくて。」
「…。」
((気持ち悪いとか、思わないのかや。))
「そんな風に、思ったりしませんよ。」
「…!」
((本物、だ。))
「その、本当は聞くつもりなんか無かったんですけど、たまたま聞こえてしまって。
すみません、プライバシーに立ち入るようなことして。でも、知ってしまったからには何か助けになりたいと思いまして。」
「…協力、してくれるのか?」
「はい。」
「なら、…この気持ちが凛にばれないように、してほしい。」
「え?」
「…。」
「……ああ、そういうことですか。」

知念クンの気持ち的にはバレて平古場クンや周りの人に嫌われるのが嫌だと言うよりは、
今まで普通に接してきた知念クンが平古場クンに好意を寄せていると知って平古場クンがショックを受けることを避けたいらしい。

「ああ、だから。」
((頼む。))
「でも、皆が皆そう思うとは限らないんじゃないですか?
 だってほら、俺も別に知念クンに対して嫌悪感を抱いているわけでもないですし、案外平古場クンも分かってくれるかもしれませんよ。」
やしが。」
「大丈夫ですって、俺がついてるんだから。」
「…。」
((くぬひゃー、こんなやつだったか?))
「そんなこと思ってると助けてあげませんからね。」
「え、いや、悪い意味じゃないさあ。」
((…いや、待てよ。今まで考えてたあんなことやこんなことも全部永四郎に筒抜けだったって事か… はあ、冗談だろ。))
「まあ、秘密はお互い守りましょうってことで。」
「ああ…。」
((まあわんは言った瞬間すぐにばれそうだけどな。))
「まあ、そうですね。あ、それと。いずれ皆にも話すつもりではいますけど、
 知念クンはうかつに他の人に秘密を漏らしたりしないだろうと思いまして。だから先に教えておいたんですからね。」
「そうなのか?」
「はい。」
「じゃあ、黙っとく。」
「お願いします。じゃ、そういうことで。頑張りましょう。」
「ああ。」
((やっぱ永四郎、イメージと違う…。))


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